山岳遭難の増加を止めたい!遭難防止のヒントを得るため、登山者のみなさんは遭難しないためにどんなことをしているのか?登山者に突撃インタビューさせていただき、登山に対するホンネをうかがいます。
2019年6月某日 晴れのち雨
場所:北アルプス蝶ヶ岳ヒュッテテント場
登山者:吉沢昭仁さん、きよみさん(夫54、妻49)
登山歴:約15年
登山届:コンパスに提出
山岳保険等加入済
テント場でのんびりされているご夫婦にインタビューしました。
Q.いつもの登山スタイルは?
一般登山道のみで危険なバリエーションルートは行きません。冬山も行きますが小屋泊まりだけです。2人で登山を始め、2人の都合が合えば毎週でも登山に行きます。
Q.今回の登山ルートは?
蝶ヶ岳 三俣登山口から一般登山ルートの往復で、1泊2日のテント泊です。残雪もありましたが、ピッケルやアイゼンは不要でしたよ。
Q.遭難しないために何をしていますか?
無理をしないことかな。天気が悪い時は行かないことですね。明日は天気が悪いので早く降りようと思います。
それから予備のご飯を必ず持っていきます。今回はアルファ米を2食予備に持ってきました。今回は1泊ピストンなので、豪華に焼肉を準備しましたが、縦走の時は、アルファ米とラーメンなどで軽量化します。
地図とコンパス、ファーストエイドキットはいつも持っています。
バリエーションは危ないから行かないよね。(顔を見合わせて確認)あとは1人ではいかない、滑落したらわからないからね。
Q.これまでに危ないと思ったことはありますか?
夏山で転倒したり、あとは雪で少し滑ったことかな。谷川で滑ったら、止まらないのね…。
Q.それがあってから何か気をつけていますか?
アイゼン、ピッケルワークをしっかりやらないとと思いました。山岳会は入ってないし、あちこちで講習会などがあっても土日が多くて、仕事で出られないんです。だから本を読んで独学で勉強しています。
Q.登山をしていて気になることはありますか?
最近、登山中に大丈夫かなと思う登山者がいます。「道はここで良いのか?」とは、よく聞かれますね(苦笑)。登山道ではない所から、泥々になって登ってきた数名の女の子たちがいてびっくりしたこともあります。
自分の兄弟も山を登りますが、よく登山者に声をかけたり助けたりしていますよ。以前、疲れて歩けなくなった1人の登山者に遭遇し、友達に置いていかれたと、疲労しているため、ザックを担いであげて友達の所へ連れていってあげたそうです。普通なら仲間を置いて行かないけど…そういう行動の登山者が多くて心配です。
こういった登山者へのインタビューが、遭難予防の啓発になると良いと思います。頑張ってください。
今回の登山者は、笑顔絶えない息がぴったりのご夫婦でした。まさに山のパートナー、人生のパートナーという感じでした。2人の登山スタイルは2人で決め、安全な登山を気にかけているからこそ、15年も笑顔で楽しい山登りが出来ているのだと感じました。
登山中に遭難リスクのある他の登山者のサポートをすることもあり、2人のお陰で遭難を逃れた登山者もいたのではと思います。
山では運良く遭難せず、その危うさに気づかないでいる遭難予備軍がたくさんいると思われます。ただラッキーな登山者になってはいけないと思うのですが、山を知らない初心者にはハードルが高いこと(山には色んな罠がある?)も理解できます。安全登山を長年続けている登山者には、みんなが経験が異なることを理解し、リスキーな登山者には温かい目で、安全に山に登るヒントを共有して欲しいものです。
この日は、夕方から雨、夜間から朝にかけて強風となり、展望の良い稜線上に幕営した登山者のテントは潰れ小屋に避難されたようでした。ヨシザワさんご夫婦は悪天を予想してでしょうか、テントは風の当たらない窪みに設置され、びくともしていませんでした。
改めて、楽しく登るために安全に登る!という簡単そうで実は難しい登山を実行しようと努めているお二人だったと思います。これからも安全で楽しい登山を!
ご協力ありがとうございました!
※個人情報について、ご本人の了解のもと、公開させていただいております。
※インタビュー内容は、ご本人の回答に若干の編集を加えております。ご了承ください。
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